好きな推理小説の話

僕は小説が好きである。きっかけは高校時代に友達がいなかったからである。(爆笑)読書家としてはかなりの偏食家で、推理小説ばかりをむさぼっている。もともとの理屈っぽい性格のせいかもしれない。マイブームはエラリー・クイーン。アメリカの作家で半世紀以上前の作品ばかりだ。異国の、50年以上前の情景なんて、文章から想像したところで正しいのかどうかわからない。けれど僕がクイーンの作品を楽しめるのは、ひとえに「推理の核」論理の整然性に惹かれているのだ。

簡単な話である。
A=B  A=C  
ならば  B=C

クイーンの推理ロジックはこれを果てしないレベルで、AからZまで紡ぐようなものだ。

スタート地点からはおよそ想像のつかない景色まで、僕を連れていってくれる。でも振り返れば、それはやっぱり綺麗な一本道なのだ。興奮となぜか達成感(僕はなにもしていない)をくれるのである。

フリーター、推理する

推理小説熱に浮かされた僕は、もはや探偵である。

週5、カフェでバイトしているけど探偵である。
ある日のこと、キッチンでトマトを切っているとき、同僚の女子大生と雑談していた。(うきうきである)関係ないけど、「女子大生」って響きがいいよね、と親父くさいことを思ってみたりする。「○○君て、タバコ吸いますか?」

と年下の女子大生がきいてくる。(年下の女子大生!)うきうきしながらも、その声のトーンが低いことに気がつく。

そして人が人に質問をするときは、その相手に興味がある。もしくは、その話題について話したいことがある。そのどちらかである。

僕の灰色の脳細胞は回転を始める。女子大生は僕に興味がない(爆つら)=煙草について聞いてほしい話がある。質問のとき、声のトーンが低くなった=煙草に嫌なイメージを持っている可能性が高い。女子大生は最近彼氏ができたと云っていた。僕の灰色の脳細胞は回転をつづける。答えは導き出された。「吸わないけど。彼氏がタバコ吸うのが嫌なの?」「えっ?」おどろく女子大生。どや顔をこらえる僕。

「いや、さっきのお客さんがすごい美味しそうに吸ってたんで、そんなにいいもんなのかなって、、、。てゆーかなんで急に彼氏ですか?」

「いや、、あー、勘違い(笑)」

僕は俯いてトマトを切る。真っ赤になった顔も、このトマトよりはましさ、と意味不明なことを考えながら、僕はトマトを切る。